コンサルティングファーム, シンクタンク
今回のインタビューでは、コンサルティングファームである株式会社エヌ・ティ・ティデータ経営研究所様に、企業概要やコンサルティングで扱われているテーマ、人材採用に関して求める人物像などをお聞かせ頂きました。
- 志村
- 本日はお忙しい中、貴重な機会を頂きありがとうございます。
インタビューでは、貴社の事業概要や人材採用に関して求める人物像などをお伺いできればと考えておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
- 阿部様
- どうぞよろしくお願い致します。
会社概要
- 志村
- 早速ですが、まずエヌ・ティ・ティデータ経営研究所様の事業概要をお聞かせ頂けますでしょうか。
- 阿部様
-
当社はいわゆるコンサルティングファームであり、事業内容はコンサルティング全般にわたります。その中ではまず「戦略コンサルティング」と「シンクタンク」の2つの面を持つことが特徴です。
戦略コンサルティングでは、主に大手企業から中堅企業をクライアントにし、経営戦略や事業戦略、新規ビジネスやサービスの戦略などをゼロベースで立案し、実行までを担っています。またシンクタンクの面では、官公庁や自治体に向けて基本的な調査から政策立案、そして社会実装までをトータルで担っています。
もう一つの特徴としては、上流に特化していることが挙げられます。他のコンサルティング会社の様にSIやBPOへの誘導を強く求められるようなことがありません。そもそも、システム開発部隊もアウトソーシング部隊も持っておりませんし、社名から以外に思われることもあるのですが、当社として独立性が高く、親会社のシステム開発、システム運用のコンサルティングもほとんど行っておりません。本来のあるべき姿を考えるコンサルティングに注力できる環境があると言えます。
- 志村
- なるほど、純粋なコンサルティングに注力されていらっしゃるのですね。
コンサルティングをされている、顧客の業界はどのようなものでしょうか。
- 阿部様
- 民間企業としては、通信サービス業界やITサービス業界、それに流通業が相対的に多いです。全般的にサービス業の比重が大きいですね。相対的に製造業の比重は現状小さめといえます。公共分野においては、中央省庁から地方自治体、外郭団体まで幅広くカバーしております。
- 志村
- 具体的なコンサルティングテーマとしては、どのようなものがあるのでしょうか。
- 阿部様
- 幅広い領域で専門的なコンサルタントがおり、最新技術を活用し多岐に渡る経営課題や社会課題の解決に取り組んでいます。
昨今で言えば、まずはDX、これも単なるIT化ではなく、モバイルやクラウド、IoTやAIなどの技術を活用して顧客にイノベーションを起こす、という視点でのコンサルティングを重視しています。他には、ビジネス開発や新規事業開発、また企業間のアライアンス戦略や、UXに関するデザインやデータ分析、金融決済サービスの新しい潮流などがあげられます。
官公庁向けでは、例えば脱炭素、介護、地方創生、ヘルスケア、スマートシティ、デジタルガバメント、地域エネルギー、地域交通、防災、先端技術活用、等が最近のテーマでしょうか。
- 志村
- 企業と官公庁の双方をバランスよくコンサルティングされていらっしゃるのですね。
その中で、貴社が掲げていらっしゃる、『新しい社会の姿を構想し、ともに「情報未来」を築く』
これには、どんな意味が込められているのでしょうか。
- 阿部様
- 「新しい社会の姿を構想する」という点においては、課題ありきというより、未来の姿からバックキャスティングしてアプローチしていく事に意味を込めています。具体的には20年、30年先の社会をイメージし、そこから必要となるイノベーティブな戦略や社会政策を提言するということです。実は、「情報未来」「INFO-FUTURE」は、2005年位から当社では使われている言葉で、商標登録もしております。その頃から情報やデータが世の中を変えていくとの考えがあり、当社はそこを目指していくとしていました。
併せて「ともに」の言葉には、企業間アライアンスや世の中でどう共に歩むかが大事であり、顧客ともに歩むコンサルティング会社という意味をこめています。
- 志村
- 「顧客に真摯に向き合う」当たり前の言葉のようですが、言葉の裏には先を見据えた深い意味が込められていると理解致しました。
次のご質問ですが、貴社の顧客に対する強みとしてはどのような点があげられるか、教えて頂けますでしょうか。
- 阿部様
- 顧客志向で顧客に深く入り込んでいる点が挙げられます。某リサーチ会社の調査によると、企業における当社の認知度は必ずしも高くはなかったのですが、過去一度でも当社を使って頂いた企業での当社の満足度はコンサル会社の中で数年前からトップ3に入っています。顧客に真摯に寄り添っていく姿勢と、収益優先で割り切ってしまうのではなく責任を持って課題解決を最後までやりきる点が評価されていると考えています。
例えば、戦略策定フェーズであれば、単に答えを論理的に提示するのではなく、丁寧に対話を繰り返しながら、顧客とコンサルタントが一緒に考える事で腹落ちしてもらうような事をやらせて頂いており、そのコンサルティングスタンスが顧客の納得度に影響している面も大きいと考えています。「説得と納得は違う」と言われますが、提言の内容と変革の実行度のバランス、実際にクライアントが変わっていく事が高い満足度に繋がっているのだと思います。
- 志村
- なるほど、顧客に寄り添うパートナーとしてご支援されていらっしゃる事が強みとなっていらっしゃるのですね。
先程も少しグループ間のお話しがございましたが、グループ会社間での連携はどのようになっておられるのでしょうか。
- 阿部様
- 当社は、NTTデータグループの側面もありますが、同時にNTTグループの側面もあります。先ほど申し上げた通り、上流に特化したコンサルティングを行い、中長期的なテーマを追いかけ続けていますので、長期的なものの見方、考え方を得意とするNTTグループとの親和性も高いです。具体的にはNTTは、重要な社会的インフラである通信を基本とする企業ですから、短期的業績によらず自分たちのリソースを使って社会にどのような変革をもたらし、どのように貢献するかに重点を置いて考えています。例えば、NTT研究所で研究される各種基礎技術や新しい通信技術を使ってどのように社会にイノベーションをもたらすか、等です。NTTグループで経営課題や社会課題に対してこれほど広範囲に対応しているコンサルティング会社は他にないと思いますので、社会変革・社会課題に対してNTTのグループ全体のリソースを使いながら取り組んでいける環境だと言えると思います。
同じNTTデータグループのクニエは、どちらかというとシステム導入に関するコンサルティングが中心であるため、役割が重なることは、あまりありません。
- 志村
- 今後の貴社事業の方向性や、注力されていく領域はどのようなものをお考えか伺えますでしょうか。
- 阿部様
- コンサルティング領域は、特にデジタル系はトレンドになっています。ただDXは、もはや前提になっているので、例えば、「DX×○○」のようなコンサルティングが多くなっているのが現状です。また、当社の売上は過去5年くらいで2倍になっていますが、基本的には堅実な事業規模の拡大推進をしています。結果的に拡大はしていますが、あくまで質の高いコンサルティングを行うことを重要視しており、決して企業規模そのものを目的としないイメージです。それを実現させるために、コンサルタント採用は重要なテーマになっています。
当社は自由な社風で裁量も大きいので、テーマを自分で選んで実践できるところが他ファームと比べて特徴的なところです。自由に、やりたい人がやりたい事をやってもらうことを大切にする企業文化です。その結果、現在ではインダストリーやテーマを幅広く手掛ける特徴のあるファームになっています。
戦略コンサルティングの領域では、企業合併、事業構造、組織人材、顧客創造(マーケティング)等、企業の変革発展に貢献する事を幅広く行っていますし、いずれもDXの文脈と掛け合わせて変革を構想することも得意としています。
また、シンクタンクの領域では先ほど申し上げた、脱炭素、ヘルスケア・福祉、地方創生等、社会課題解決に関するほとんど全てのトレンドテーマについてのコンサルティングを官公庁や企業に向けて行っています。
また、我々は現在の状況を非常にチャンスであると捉えております、コンサルティング業界は今後5年のCAGRが7.8%と継続的に大きく拡大していくことが予測されていますが、明らかに社会におけるコンサルティングの位置づけが変わった、潮目が変わったと感じています。産業構造の変化や世の中の変化のスピードが速すぎて、昔のように自社内で完結するような環境ではなくなっていて、我々のような専門的知見を企業の中に組み入れ、他とどう組んでいくのかが重要になってきていると考えています。
これらの状況で、新しい社会を作っていく、戦略課題に取り組んでいくコンサルティング機会は多数あるので、その点でも優秀な人材を採用できるかが今後の発展に向けて重要になっています。
活躍しているコンサルタント
- 志村
- 優秀な人材採用が今後に向けた鍵ということですね。
そうしましたら、貴社で活躍されていらっしゃるコンサルタントはどのような方かお教え頂けますでしょうか。
- 阿部様
- コンサルティング経験者も未経験者も両方活躍しています。
コンサルタント経験者では、他社の収益重視の中ではなかなか取組むことを許されない、しかし自らに取ってやりがいのある経験をしていきたい人、年々上昇するハイストレッチな目標ではなく一定の収益を確保する中で帰属意識を持って中長期にコンサルタントを続けていきたい人などが、入社後に活躍していることが多いです。日系・外資系のどちらの出身者も在籍しており、広い経験軸をもった人が活躍しています。ハイクラスの中では、今まで数字を正義としてバリバリ仕事をして充実していたが、もう少し社会貢献に携わりたい、ゆっくり人材育成をしながら組織の運営をしたいなど、これまでの“コンサルティング”を大事に新しい価値を作りたい人が当社に参画されています。
未経験者では、特に20代から30代中盤のコンサルタント未経験者が幅広い業界から入社しています。シンクタンク系を担っている人材では、未経験で入社後、当社で専門性を身に着けたメンバーも多くおります。他ファームとの比較でいきますと、大きなプロジェクトに複数年にわたり一部を担うメンバーとして仕事をするより、色々なテーマ、プロジェクトに関われることを希望して参画する人が多いです。
また、30代中盤以降でコンサルタント未経験者は、何かしら専門性をもって入社しています。やりたいことが明確にあり、新しいことを好む、タフなプロフェッショナルとして、自己の責任において自分に与えられたミッションを果たす、そのために常に成長する人材イメージです。
当社は自由度の高さを持続することを重要視しています。志向としては、単に経験を活かしたいというよりは、コンサルティングのマインドを持って、「これを実現したい」という考えのある方がフィットしやすいのではないでしょうか。
さらに会社としては、社会におけるプレゼンスを重要視しています。若手であっても個人の名前で執筆や講演をすることができる、良い制度になっており、単にデリバリーを繰り返すだけではなく、その経験を対外的に発信していくことも大切にしています。こういう経験を積むことでコンサルタントとして世の中に名前を出していけることも当社の魅力の一つと考えています。
- 志村
- 様々なバックボーンを持つ、多数の方が活躍されていらっしゃるのですね。
そのコンサルタントとして必要なものは、どんなものがあるのでしょうか。
- 阿部様
-
一般的になってしまいますが、自分で考える力、変化をいとわない順応力、タフな精神力とともに、ベースのビジネススキルや文章力などは大事です。コンサルタントになりたいではなく、「こういう事がしたい」という思いがあって、だから当社コンサルタントを希望する、という方が当社にはフィットしていると思います。各プロジェクトで必要なスキルは微妙に異なるので、当社はむしろ、その人の良さを活かしてプロジェクトを組成していくという考え方をしています。
人事制度で他のコンサルティングファームと異なるのは、当社はあまりアップorアウトのスタンスではないので、高いハードルを課し、クリアし昇格することにプレッシャーをかけるのではなく、顧客に対してバリューをちゃんと出す事に重きを置いています。そのため、コンサルタントとして本来考えるべきこと、実現すべきことに素直に向き合うことが出来るといえます。
- 志村
- 色々な志向を持ちつつ、社会課題や顧客に向き合うコンサルティングに、注力されていらっしゃると理解致しました。
最後に、貴社に関心をもった候補者にお伝えするとしたらどのような事でしょうか。
- 阿部様
- 当社の良さは、自由闊達なところです。社会に貢献できるフィールドを活かして、自分のやりたい事を実現してほしいと思います。人事としては、会社のために働くのではなく、自分のやりたい事を実現させるために当社で働くという風になってくれれば良いと思います。ただし、独りよがりはもちろん駄目で、一緒に働くメンバーの価値観も尊重する意識は必要です。
当社を少しでも魅力的に思って頂ける方がいたら、ぜひ門を叩いてみていただきたいですね。自由であること×プロフェッショナルであることの両立を重要視する、当社のフィールドを活かして、ぜひ自分のやりたいことを実現してください。
- 志村
- 本日は、貴重なお話聞かせて頂きありがとうございました。
プロフィール
株式会社エヌ・ティ・ティデータ経営研究所
人事部長 阿部 正和様
京都大学理学部卒。新卒で総合HRサービス企業のコンサルティング部門に入社、その後日系総合コンサルファームのHRコンサルティング部門、事業会社を経て2014年にNTTデータ経営研究所に入社、2021年より現職。コンサルタント時代は、業種を問わず人材戦略、人事制度改革、人材育成、マネジメント改革、など全社レベルでの多種多様なHRコンサルティングを実践
株式会社エヌ・ティ・ティデータ経営研究所
設立 1991年4月12日
株主 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 100%
資本金 4億5000万円
1. 企業経営および行政に関する調査研究ならびにコンサルティング業務
2.情報および通信システムの企画・開発に関する調査研究ならびにコンサルティング業務
3.経済、社会、産業、文化等に関する調査研究ならびにコンサルティング業務
4. 前各号に関連する教育研修・セミナーの実施・運営、情報の提供ならびに刊行物の出版
5. 前各号に付帯する一切の業務
株式会社エヌ・ティ・ティデータ経営研究所
設立 1991年4月12日
株主 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 100%
資本金 4億5000万円
1. 企業経営および行政に関する調査研究ならびにコンサルティング業務
2.情報および通信システムの企画・開発に関する調査研究ならびにコンサルティング業務
3.経済、社会、産業、文化等に関する調査研究ならびにコンサルティング業務
4. 前各号に関連する教育研修・セミナーの実施・運営、情報の提供ならびに刊行物の出版
5. 前各号に付帯する一切の業務